★★輸入盤禁止措置に反対する記者会見、行ってきました(5/13)
●音楽著作権法改定に関する記者会見、行って来ました。記者会見というのは過去にも何度か行っているけれど、今回は小さい会場ながら人はぎっしり来ていて、質問も最後まで途切れず続き、かなり熱気を帯びた雰囲気で皆のこの問題に関する思い入れを感じました。質疑応答や声明発表は、これまで本件公式webや関連サイトで報告されたものと大きく変わるものではなかったし、会見記事とそれまでの流れはITメディアで連載されている記事(最新記事に記者会見のニュースも)に非常にわかりやすくまとめられているので、こちらを見て頂くとして、個人的な感想を少し。
●印象的だったのは、声明には「輸入盤が買えなくなる!」という大変伝わりやすいメッセージを掲げてはいるけれど、ではたとえばこの法案が来年の1月1日から試行されたとしてその日から輸入CDがキレイさっぱりなくなるかというと、必ずしもそうではないのだ、という話。そのぐらいわかりやすければ消費者だっていくらなんでも大騒ぎするだろうし。しかし、この法案が通ることで、確実に、ゆるやかに、一見、目に見えないような形で、確実に輸入CDは消えていくだろうという話とその根拠が伝えられ、その怖さ、をあらためて感じた。
●確かに法案が通ったから業者が即、輸入盤を引き上げる、なんてことはないと思う。実際文化庁も、法律の対象となるのは環流CDなど、権利者が「不当に利益を害される場合」のみに適応するといちおう言っているわけで。しかし、たとえばその不利益とは具体的には2割を超える価格差がある場合と文化庁は考えているということだが(高橋健太郎氏の会見での発言より)、現在の時点でも国内版2500円のCDが輸入盤2000円で売られているのはよくあることだし、アーティストによっては2000円にしても元が取れる場合と、たとえ50円の値引きでも赤字になってしまう場合もあるわけで、結局何を「不利益」と考えるかというのはあくまでもメーカー側であり、つまり輸入禁止措置を取るか取らないかの裁量は、完全にメーカー側のコントロール下で行われるということになる、ということ。
●もちろん、今までも、個人レベルもしくは中小の輸入盤のディストリビュート業者が、自分が輸入したアーティストのCDを国内でより多く流通させるために、本国のレーベルに対して、輸入盤を日本に入れないように要請したりするようなことは行われているそうで、実際に、現時点でも、国内で「買えない」洋楽CDが存在するのも確か。だが今回の法律が通ってしまうと、そういった商業レベルのある種の戦略や裏工作(?)が、堂々と「法律の名において」行われてしまうようになる。今回の声明は、それをこそ危惧するものである、というアピールは、会見中でも繰り返し行われていた。
●この法律が施行されることによって、日本の音楽産業や、個々アーティストにそれが利益をもたらすのか、不利益をもたらすのか、それは施行されてみなければわからない。だが彼らをはじめ音楽ファンがもっともこだわっているのは、利益不利益ではなく、音楽と音楽を楽しむ権利が何者かによって「コントロール」されていくことに対しての違和感、不安、危惧なのだということ。その明確なメッセージが、大変強く感じられた会見だった。
●いや、高橋さんの掲示板でもどなたかが書いておられたけど、私も、この会見を見て、先日見たばかりの「スクール・オブ・ロック」で、ジャック・ブラックが、「ロックとは、THE MAN(つまり、俺らを押さえつけようとするエラいヤツら)に対抗できる唯一の手段だ!」と力説するシーンが何度もあって。まさに、今回の会見に出ておられた音楽関係者の方々に私はそれを感じてしまいました(笑)。
●たとえば、記者質問でも何度か「文化庁やレコード協会も、今回の法律はいわゆる洋楽輸入盤には適応しないと明言してますよね、なのになんでそんなに信用できないんですか?」というような類の質問が出ていた。もちろんそれに対してみなさんは上記のような明確な論旨できちんと答えておられるわけなんだけど、もうほとんど、超訳すれば「ばかやろう役所の言ってることなんか信用できるかよ! とにかく人のコントロール下で与えられた音楽聞いて何がロックだ!聞きたいものは俺が、俺の基準で俺のこだわりで選ぶんだよ文句あるか!」 って感じに聞こえました(笑)。言うまでもないことですが、こんなこと一言も言ってませんよ。みなさんは。あくまでも私の勝手なイメージ投影です。
●また、ほかにも、今回の声明の中で少なからず問題になっている「洋楽輸入盤はダメだけどアジア盤ならいいっていうのか?」など、いくつかこの問題に付随する様々な質問も出たけれど、これに関する答えなどは、
どなたもきっちり、「これは、あくまでも僕個人の意見であって、今回の声明を出した我々の統一見解ではありませんが」と丁寧に前置きをされていて、これにもまた、普段は決してツルまない、一匹狼的なコダワリと自負を感じました。
●おそらく普段着慣れないであろう背広を着こなしておられましたが、みなさん寝不足ということだからでしょーか。決して声を荒げることのないソフトで物静かな答弁の中にもしっかり中指が立ってる感じに、ホント、ちょっとクラっときてしまいましたよ(笑)。特に高橋健太郎さん。web上の御発言もいつもビシっとクールで明晰で常々すごいなーと思ってましたが、会見でも、次々投げかけられる質問に見事に、即、簡潔明確にしかも鋭く切り返しておられて、常々「話が長い!無駄が多い!」と言われている私は、かなりホレボレしてしまいました。すごいなあ、、。
●と、会見に関わったみなさんはこの数日ほとんど寝ずで活動しておられたとのこと。ちょっと失礼ともいえる軟弱な感想はここまでにして。私も、今後できうる限り、何かしら具体的に動けることをやりたいと考えています。


Comments
初めまして。
記者会見場の雰囲気が分かるレポートは貴重です。
ありがとうございます。
本日の日経・朝刊の記事は写真入りで結構大きかったです。
文化庁の「誤解だ」のコメントには大笑い。
補足です。
>たとえばその不利益とは具体的には2割を超える価格差がある場合と文化庁は考えているということだが(高橋健太郎氏の会見での発言より)
ですが、これは読売新聞の記事
http://www.yomiuri.co.jp/net/news/20040323ij21.htm
この中の文化庁・吉川晃著作権課長のコメントがソースでしょう。
「最終的には裁判所の判断」と逃げているのがなんともですが(笑
音楽配信メモ http://xtc.bz/ でITmediaの記事に突っ込みを入れていました。記事での文化庁側の返答が曖昧なのに笑ってしまいました。
Posted by: hiro4 | 2004.05.14 at 01:33 PM
コメントありがとうございます。
「最終的には裁判所の判断」ですか。高田渡の歌みたいですね。「値上げは今は考え〜ぬ、値上げは今のところ見送りたい〜、値上げせざるを得ないという声もあるが〜」ってやつ。昨日NHKの特集でやっていました。やれることをやって、今後の展開しっかり注目したいです。
Posted by: iwasaki | 2004.05.16 at 09:43 PM