★旧暦三月三日は水辺で神と逢う日
●今日は旧暦の三月三日です。そゆわけで私は昨年旧暦に関する本を出したのですが、やっぱ数ある行事でもダントツ面白いなーと思うのがひな祭り。
●ちょっとウンチクになりますが、ひな祭りは元々は、中国の古い行事「上巳の節句」が日本に伝わったもの。旧暦三月の最初の「巳」の日に、水辺で禊ぎをしたという行事らしいです。もともと日本には、穢れを人形(ひとがた)に移して水に流すというような風習があり、それが中国の「上巳の節句」と結びついて今のような形になったんだとか。今のようにひな人形を飾るようになったのは江戸時代ぐらいからだそうな(うろ覚え)。
●旧暦文化がきちんと残ってる沖縄では、この日、「浜降り祭」という海開きの行事が行われてる。城南宮の「曲水の宴」(←上巳の節句に水辺で詩歌や管弦の祭りをする行事)もいちおうはこの時期に合わせた祭りです。2年前取材にいった鳥取用瀬町の「流しびな」行事なんかも有名です。
●この時期は二十四節気でいう「清明」の時期にあたるんだけど、清明の時期に野山や海に出かけ、青草を踏み遊ぶ「踏青」という行事もあって、これが今のお花見に結びついたと言われています。清明の時期は旧暦の三月三日の時期とほぼ重なるし、本来お花見の原型っていうのは上巳の節句だったのかなーと私は思います。沖縄では清明のころ「しーみー(清明)」といって、あの大きな亀甲墓に親戚中が集まって先祖と宴会する行事があるけれど、お花見も本来は、春に山から降りてきた田の神(桜は田の神の化身といわれる)をお迎えして宴会するという意味もあるようです。つまり上巳の節句は、神様を迎えるお祭りでもあるわけですが(秋祭りは神様を送りだす行事)やっぱ水辺、っていうのが重要だなーとつくづく思う。海の彼方から神が寄りつく、というのは本当に古い原始信仰の形だと思うし。
●てなわけで、来週末は、ずっと行ってみたかったお祭り、島根県美保関にある「美保神社」の「青柴垣神事」というお祭りを見てきます。これは説明しだすと長くなるので割愛するけど、つまりは海の神のお葬式、みたいなお祭りです。天孫降臨の際に、国を譲らざるを得なかった国津神、コトシロノヌシ(エビスさんと同一視される神)が、青柴で囲った船に乗りお隠れになるという神話を再現したもの。頭から白いかぶり物をした小忌人といわれる氏子の女性が、手足が立たず、盲目であったというこの神に扮し、肩車のように担がれて船に乗るわけですが、この行事、ホントに奥が深い。日本の祭りの中でもかなりディープな、重要な祭りなのではないかと思う。うまく写真がとれたら、またアップしたいと思います。ちなみに2年前にこの祭りについて宮司さんに取材をしたときに、この4月7日という日付は「旧暦三月三日」と関係あるか? と質問したところ「間違いなく本来はそうだったはずだ」と仰ってました。
●思えば「源氏物語」でも、須磨に左遷された源氏が、嵐の夜、海辺で住吉の神と遭遇するのも三月三日のことだった。ずいぶん前に調べた与那国島の古い昔話にも、三月三日に海からヘビ神が来たという伝説があった。ちゃんと調べたことはないけど、おそらくこの時期に、日本中のアチコチで、水辺で神に出会うような祭りが行われてるんじゃないかと思う。九州とかいっぱいありそうだなー。
●今年は桜がちょっと早めに咲いたこともあり、明日は私もお花見に行きます。小さな草船でも作って、こどもと花びな流しでもしようかなー。


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